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“真のパーソナルトレーニング”とは何か? 〜筋トレでは解決できない課題に向き合ったセッション〜

真のパーソナルトレーニング”とは何か? 〜筋トレでは解決できない課題に向き合ったセッション〜

 

筋トレだけではダンクシュートは完成しない?

ある日、かつて私が講師として教えていたパーソナルトレーナーの元受講生が、セッションを受けに来てくれました。


彼は某大手フィットネスクラブのマネージャーを務めるほど経験豊富なトレーナー。目的は「ダンクシュートを完成させたい」というものでした。


現在の彼の状態は、「指先がリングに触れる程度」。あと少しジャンプ力を高めれば夢が叶いそうな状況です。

皆さんなら、どうアプローチしますか?

自分がパーソナルトレーナーになったつもりで少し考えてみてください。


多くの人がまず「筋力トレーニングで脚力を強化しよう」と考えるでしょう。

皆さんもそう考えたのではないでしょうか?


しかし、専門的な知識を持つトレーナーであれば多くが「プライオメトリックトレーニング(瞬発系トレーニング)」や「体幹トレーニング」に目を向けるかもしれません。

 

プライオメトリックトレーニングとは、ボックスジャンプ(下の写真)に代表される、ジャンプ動作での切り返しなど「伸張反射」を利用したトレーニングの事です。

   

伸長反射とは…

急激に筋線維を伸ばされた時に脊髄反射で防御的に筋線維を縮めるよう、伸ばされた筋が収縮する現象です。

この反射は私たちも知らない間に生活の中で利用しています。

例えば、高くジャンプしようと言う時に必ず「一度しゃがむ」動作を入れますよね?

またはボクシングのパンチのように素早く手を前に出す時も「一度後ろにひく」動作を入れますよね?

これは無意識に伸張反射を利用して、素早く筋収縮を指せようとしている表れなんです。

一昔前までは瞬発的な動作を改善するには「筋トレで土台になる筋肉を付けてから、プライオメトリックで素早く収縮出来る筋肉へと教育する」という流れがスタンダートでした。

しかし、本当にそれだけで解決できるのでしょうか?


瞬発力を支えるのは“筋肉”だけじゃない

近年のトレーニング理論では、「ジャンプ力=筋力」だけの力とは限らないとされています。


むしろ筋肉よりも重要なのが、「筋膜」や「腱」が持つ“弾性(バネ)力”。
これらは一度伸ばされた結合組織のバネの力によって生み出されます。

 

早稲田大学が行った実験によってジャマイカのエリートスプリンター(ウサイン・ボルト含む)のアキレス腱が一般成人男性の「約4倍」の弾性力を持つことが分かってから、今では瞬発力を左右する大きな要因となると考えられています。

 

この筋膜や腱の結合組織のバネ要素もプライオメトリックトレーニングで養われると考えられている為に

ジャンプ力向上のためにはプライオメトリックトレーニングでこの伸長反射と腱の弾性要素の強化が有効と考えられています。


しかし、さらに重要な視点が近年注目されています。


「体幹の安定」と「関節の剛性」が力を伝える

いくら脚のバネ力を鍛えても、ジャンプ動作の力が身体全体にスムーズに伝わらなければ、高く跳ぶことはできません。


ジャンプの力を効率よく伝えるには、体幹の安定性と、特に**足首や膝・股関節などの“関節の安定性(剛性)”**が不可欠です。

 

例えば、ジャンプの瞬間に身体が丸まってしまったら、せっかく生まれた力も分散されてしまいます。


“力を逃さず伝える体”を作ることが、ジャンプ力向上には欠かせないのです。

 

これは本当に最近の研究で分かった事です。

 

以下に参考となる論文を添付します。

筋力トレーニングとコンディショニングトレーニング介入が機械的剛性に及ぼす影響とは?系統的レビューとメタアナリシス

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/02640414.2025.2477394#d1e224


それでも足りなかった“意外な要素”

さて、彼は体幹トレーニングにも精通しており(なにせ私が一から教えてますからね)

プライオメトリックもやってると言ってたので、既に筋力や弾性力の強化も十分に行っていました。


それでも「あと一歩届かない」原因はどこにあるのか。

私はセッションの中で、全身の関節可動域を細かくチェックしました。


すると、肩関節の柔軟性に大きな制限があることが分かったのです。

つまり、ジャンプして腕を上げる際に“腕がしっかりバンザイできていない”状態だったため、指先がリングに届いていなかったのです。


脚の力ではなく、「肩まわりの柔軟性」がダンクシュートの壁になっていたとは、本人もまったく予想していなかったようです。


パーソナルとは「その人だけの答え」を導くこと

私が行ったのは、脚や体幹のトレーニングをさらに積むことではなく、肩甲骨・肩関節・肋骨周囲の可動域を広げるアプローチ


脚を強くするよりも、“上半身の可動性を高めること”が、彼のジャンプ力のボトルネックだったのです。

 

セッション後、彼は「そんな視点はなかった!」と驚きながらも大喜びで帰っていきました。
このとき私は、「本当にパーソナルな指導ができた」と確かな手応えを感じたのです。


その人の問題を深堀出来る”真のパーソナルを

多くのパーソナルトレーナーは、学んだ知識をもとに「筋トレ」「プライオメトリック」「体幹トレ」といった方法論を提供するのが「パーソナルトレーニング」だと思っています。


もちろんそれらは大切ですし間違いではありません…というより「基本」です。

 

パーソナルトレーナーは、知識、技術なんてあって当たり前で、本当に求められる力は目の前のクライアントを見て、“その人にいま何が必要か”を見極める力こそ重要だと私は考えています。

 

そういう意味で、私は先ほどのセッションの話を皆様にも伝えたかったのです。


まとめ

今回のケースは、私自身にも大きな学びをくれた大切なセッションでした。


そして、皆さんもおくがわ整体院以外でもパーソナルトレーニングセッションを受けることもあると思いますが、その際には自分の身体・ライフスタイル、性格の特性を見抜いて真にパーソナルなサポートしてくれるトレーナーを探してみてください。

 

もちろん!私は

 

・最新の知見を得る為に論文のリサーチを常に欠かさず

・専門書を読んだ数は1000冊を超え

・指導者は実践者たれ!をモットーに自己鍛錬を怠らない

・・ボディワーク、体幹トレーニング、理学療法、筋トレ、ファンクショナルトレーニングと様々な運動療法を習得し

・運動療法だけでなく、徒手療法も専門家へ指導出来る確かな実力!

 

そんな私自身を一番お勧めしますが(笑)


最後に私と同じく「個人の身体、ライフスタイル、性格などの特性に応じた真のパーソナルトレーニング」の提供を心掛けているトレーナー

 

日本のパーソナルトレーナー黎明期の立役者と言われる恵比寿Mind_Body代表の鈴木謙太郎先生と私が「若いパーソナルトレーナーに伝えたい事」をテーマに対談した動画をシェアします。

 

 

ちなみにですが…鈴木先生と私は日本にバランスボールとファンクショナルトレーニングを紹介した阿部良仁先生からば指導を受けていた

 

いわば兄弟弟子的な関係だと言う事とお互いに考え方が共通する部分が多い事から対談が実現しました。

 

 と言う事で、私もバランスボールやファンクショナルトレーニングの指導法は阿部先生直伝ですから結構詳しいので興味ある方は声かけてください!

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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