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【健康豆知識:ガニ股歩きになる理由は脚じゃなく背骨にあった?】

整体&パーソナルトレーニングで身体を根本から改善する

新宿 おくがわ整体院 院長の奥川洋二です。

 

さて、皆さんはお年寄りの方がワニのようにガニ股歩きになる理由はご存じですか?


実はこれはネットなどには載ってないのです。

というより…ネットの情報は古すぎるのです。

 

若い人の歩く姿を見ると身体の中心に足を運び、右足と左足の間隔が狭いですよね。

この歩行時の右足と左足の間隔を「歩隔」と専門的には言います。

 

モデルさんみたいにクロスさせるのは不自然ですが、この歩隔は健康な若い人では年配の方より平均的に狭い傾向があります。

 

健康な成人で歩隔は7~9cmくらいだと言われています。(参考文献:筋骨格系のキネシオロジー:医歯薬出版株式会社)

 


しかし、高齢者の方の中には歩隔がとても広い方が時々見られますね。

ワニのようになっている方も時々いますよね?^^;

 

これは以前までは「股関節の内外転筋が弱い」から足を左右に広げる事で「支持基底面」を大きくしてバランスを取りやすくしているからだと言われていました。

 

未だにネットのまとめサイトなどではこの説を使っているものが多いと思います。

 

つまり「股関節周辺の筋肉が弱いからグラグラするので、足を左右に広げて転ばないようにしている」という事です。

 

人形なんかでも、足を閉じている人形より足を広げている人形の方が倒れませよね?

支持基底面が大きい方が転びにくいのです。

 

物体は支持基底面から重心が外れると回転モーメントが生まれるのですが、人間なら回転しませんが転びやすくなります。

 

私は前職がフィットネスクラブのトレーナーでした、会員様の中でお年寄りの方でキレイに歩けるようになりたいという方がいらっしゃったときには

 

よくマニュアル通りに「股関節の内外転筋」の筋トレを指導していましたが、ある時に気付いたんですね…

 

何か?それは股関節の筋肉は余り関係無いんじゃないか?という事に…

 

おばあちゃんで「股関節の内外転筋」がめちゃくちゃ強い人がいたのです。

マシンの重りを一番下にしても出来てしまう。

 

そのジムは古いジムだったので、長く通っている人の中にはずっと継続して筋トレしていて、知らない内にめちゃくちゃ筋力強くなっている人もいたのです。

 

ですが、そのおばあちゃんの歩き方はめっちゃ「ガニ股」歩きでした。

しかも、重度のO脚でもありました…

 

その時に「あれ!?なんか違うんじゃないかな?」と気付いたんですね。

 

で、その後少しして整体院を開業したのですが、整体院の収入だけでは食べていけなかったので、フィットネスクラブと掛け持ちしていた時だったと思います。

 

書店である医学書を購入したら面白い事が書いていました。

 

なんと!ガニ股歩きになる理由は上半身の背骨の動きが悪いからだと言うのです。

 

その書籍によると最近の研究で背骨の動き(特に側屈と回旋)が悪くなると、上半身で上手に重心コントロールが出来なくなるので左右に足を広げてバランスを取りやすくすると言うのです。

 

イメージとしては…

 

とても熱いお茶がなみなみ入った湯呑を置いたお盆を運ぶ時に、上半身を固めますよね?

そうするとモデルみたいに身体と腰を捻って歩けないでしょ?

 

だから、上半身の背骨が固い高齢者は左右に足を広げて歩くんだ。

という事だそうです。

(参考文献:多関節運動連鎖から見た変形性関節症の保存療法 全日本病院出版会)

 



少し厳密に説明をすると…

人が歩行時に推進力を得るには足の裏で地面を蹴る時に接する点「足圧中心点」と身体の重心である「身体重心点」の位置がずれていないと推進力が生まれにくいです。

分かりやすく説明すると片足立ちで安定している時には足圧中心点と重心点が一致している訳ですが、どちらかが移動しないと身体は動きませんよね?

若い男性は歩行時の推進力を生み出す際に、重心の左右の揺れが少ないのですが、高齢者は上半身が固まっている状態で左右に揺さぶるようにして推進力を得る動きを行うので、歩隔を広げないと安定しないとの事です。

難しい専門用語が並びますが、以下原文引用です。

「高齢者は若年者と比較して矢状面のCOM-COP傾斜角の振幅は小さく、前額面のCOM-COP傾斜角振幅は大きくなる、この事は若年者では矢状面のCOM-COP傾斜角によって前進する為の加速度を生成する一方で、骨盤や体幹の側屈と回旋を用い体幹の重心の位置の移動を制御し、前額面ののCOM-COP傾斜角を小さくしている、一方高齢者では矢状面ののCOM-COP傾斜角小さいために前進する為の加速度を作りだす事が難しくなる、しかし体幹の側方運動によって重心に影響を与え全身の加速度に転換させている。その結果が前額面ののCOM-COP傾斜角増加として観察できる。その場合、高齢者では前額面の安定性が脅かされるため、歩隔を広げる事で対応してくると推測できる。

難しいですよね…^^;一般の方ではちょっと

さておき、それを知って早速フィットネスクラブでは、おばあちゃんたちとバランスボールを使って背骨を動かす体操をたくさんしました。

 

するとやっぱり歩き方が改善していくのですね。

あれだけ筋トレしても全く改善しなかったのに…ですね!

 

リハビリテーションの知識、技術は大体510年後くらいにスポーツの世界に応用されます。

皆さんご存じの「バランスボール」「ストレッチポール®なども元々はリハビリテーションのツールです。

 

なので、今日書いた内容が一般的になるのは少し先の事だと思います。

運動科学も日進月歩で発展しています。

 

ちなみに…

 

若い人の歩行時の背骨の動きの特徴としては、側屈と回旋をたくさん使うのだそうです。

対して、高齢者の場合は側屈と回旋はほとんど使っていないそうです。

 

みなさん、ここまで読んで「ころころ理論が変わるんじゃ、何を信じたら良いんだろう?またその理論も覆されるんじゃないの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、真実は割と身近に転がっていますよ。

 

歩き始めた赤ちゃんが分かりやすい例えです。

 歩き始めの赤ちゃんはまだ上半身を上手く使えないので、両手を上に上げてバンザイするようにして上半身を固めて歩いてますよね?

 その時に足は大きく左右に開いてガニ股になっていると思います。

 

徐々に上半身を柔らかく使えるようになる過程で、歩き方も大人のような歩き方になりますよね?

 

私たちは別に歩き方を学ぶ過程で「股関節の内外転筋」の筋トレなんてしませんでしたよね?という事は、そんな筋トレしなくとも立派に歩けるようになるのではないのか?と思いませんか?。

 

ちなみにO脚」も同じくです!

 

O脚の改善方法で時々「太ももで枕を挟んで内転筋を鍛える」とかありますよね?

しかし、よくよく考えますと「太ももで枕を挟む」そんな身体の使い方を人生で行った事ある人の方が少ないと思いますよね。

 

でも、みんな真っすぐの脚になってますよね?

 

私たちが成長する過程をよく観察して、一つ一つの動作を見れば真実に気付く事も多いです。

 

特に生まれてから一人歩きするまでの「乳児の発育発達過程の運動学習」はどの人種、性別、関係無く同じ過程を辿ります。

 

そこには科学ではまだ分かっていない事実が隠されていると考え、最近はリハビリの世界ではもちろん、アスリートのパフォーマンスアップにも「乳児の発育発達過程の運動学習」を参考にしたトレーニングを行う人が多くなっています。

 

有名なのはハンマー投げの室伏広治さんでしょうか?

乳児の寝返り動作をかなり研究されていたようです。

 

実は当院でもO脚整体コース」「パーソナルトレーニングコース」などで指導するエクササイズの多くは「乳児の発育発達過程の運動学習」を参考に作られています。

 

また、当院にお越しになれない方向けにテキストと動画で当院のエクササイズの理論と実践が学べる教材もございますので、興味がある方はこちらのページよりご確認ください。

https://okugawa.base.shop/items/57422143

 

では、今回はここまでとしたいと思います。

長文最後まで読んでくださって誠にありがとうございます。

 

今回のコラムが参考になったという方がいらっしゃいましたら、高評価頂けると今後のコラム作成の励みになりますのでよろしくお願いいたします。

 

新宿 おくがわ整体院

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